
■私たちが活動の拠点を置く米原市柏原区内にある保育園(柏原保育園)の改築である。
■計画当初は木造であることを願った建築であるが、様々な事情により鉄骨造としている。それゆえ、内部は可能な限り多くの無垢木材を使用し、木造と見間違うような園にすることを心掛けた。
■多くの保育園が民間の社会福祉法人が運営する中で、当園は自治区(柏原区)が経営する全国的にもまれな保育園である。その保育方針は、「子どもの心やからだはふるさとの中で育つ」を合言葉に地域の「自然」と「人」と「文化」に触れながら子どもを育てる「ふるさと保育」を実践し、地域から愛される保育園となっている。
■この「ふるさと保育」に呼応するように、外観は地域の景観を呼びおこすものとして、屋根勾配は街道(柏原区を東西に走る旧中山道)民家にあわせ、地域に見られる下見板張り、大和張りを外壁の一部に採用している。一方内部においても玄関ホール、各保育室の腰壁等に木材を多用し、これらはすべて柏原区有林の杉、桧を伐採し、加工し提供を受けている。
■まわりの世界を体験し理解し始める子どもたちにとって、手に触れる建築材料のクオリティ、色、表面のテクスチャーなどは大きな影響を与えるものである。特に内装の木材については使用場所と性能に関する夥しいルールをクリアしながらその特性(香り)を生かす仕上、ディティールを採用している。新たな園舎に入った子どもたちの感想が「木の香りがする」ことであった。
■こうしたプロジェクトの予算はきわめて厳しいものになることが多く、デザイン的な冒険の余地が著しく制限されてしまう中で新たな木の使用方法を追及した建築である。地域の大きな支援と関心の中で、地域の未来につながる子どもたちの心身が育まれる建築に関わることができたことに心から感謝している。

左上に見える建物が旧園舎







天井化粧梁は柏原区有林の桧を使用している。

ステージの三方枠・天井格子は柏原区有林の杉を使用している。

保育室の腰板は柏原区有林の杉を使用している。




後に保育室の腰に取付している

後に玄関ホール天井に取付している

