
霊峰伊吹山の麓の集落にあり、重厚な冠木門(かぶきもん)のあるI家の主屋再生事例である。
地域にある古民家を住み継ぐことについて、様々な相談を受ける機会が増している。民家の再生に携わるものとして、適切なアドバイス又、サポートすることで、未々、命永らえる民家が蘇生し、残されてゆくことを願っている。
今回も歴史ある家の部分の維持に関する様々な問題に対して相談を受け、対処してゆく中で、主屋全体の維持、改修に関わってゆくこととなった。
I氏(建築主)は、代々、広大な森林を所有される林業家の側面を持たれることから、素材としての木の性質を深く追求されている。ご自身の山の木から良材を選別、伐採(葉枯し)し、さらなる乾燥と養生を重ねた上で、木取し、床壁等に美材を多用している。
主屋に隣接する離れ座敷は、主屋(天保16年 1845年)より更に古く、小屋裏の束に「天明7年」(1787年)の墨書がある。外壁、建具等の部分的な改修をおこなっている。
『住まいは、自分の年々の歴史のみではなく、父母の、その又父母の祖先の歴史までが含まれ、刻まれている。』
改修計画を進める中で、そんなI氏の強い意志を感じている。
天明の時代より連綿と継がれる住居に現代の機能が備えられ、又新しい息吹が加えられている。





堀こたつのやぐらは敷地内にあったイチョウの木で製作している

床板は無垢で厚40m/mの無節の杉板を熱圧加工し張っている。

セカンドハウス的な住まいでもあり、伊吹山を近望できる非日常的なバスルームとして計画している


敷地内のイチョウの木を天板に使用し、ボーダーは2階ツシの床板(栗)をカットし、桧板に埋め込んでいる。

(天明7年の建築)


